認知症の症状と対策を【介護者目線で解説する認知症対策】2017年版




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ご自身や大切な人が認知症と診断された。

徘徊、暴力、激しい物忘れ。今、自分の中にある認知症の知識で絶望的な気持ちになってしまっている方も少なくないと思います。

私自身、はじめて母が認知症の診断を受けた時は、認知症の悲惨な症状ばかりが頭の中を駆け巡り、絶望的な気持ちになっていました。

しかし、実際介護を経験して思う事があります。

それは、確かに認知症になることによって、脳の機能が失われるものの、正しい知識を持って対応すれば、問題となる行動を和らげる事が出来るという事です。

そこで今回は、認知症のよって引き起こされる症状と、対処方について解説していきたい思います。

認知症の症状は2種類ある(中核症状と周辺症状)

まず、認知症の症状を考える上では中核症状と周辺症状。これを別けて考える必要があるという事です。

例えば、蚊に刺された場合で中核症状と周辺症状を考えると理解しやすいと思います。

例 蚊に刺された場合
中核症状
・蚊に刺さされた所が痒い
周辺症状
・痒いので掻きむしったらばい菌が入って化膿した
・痒いのでイライラして暴れた
認知症で脳細胞が破壊された
中核症状
・記憶力が著しく低下した
周辺症状
・財布をしまった場所を忘れたので、盗まれたと他人を疑った(物取られ妄想)
・今いる場所が自宅である事を忘れたので、過去の記憶にある自宅に戻ろうとさまよう(徘徊)

上記の例で言えば、蚊に刺された直後、痒くなる(中核症状)というのは直接的な症状なので、抑える事は難しいですが、掻きむしる、暴れるという行動に関しては、直接的な原因が蚊ではなく痒みから派生して起こる症状です。

刺されて痒いのはどうしようもありませんが、暴れたり、掻きむしったりしないようにする方法は色々とあるはずです。

認知症も同じです。脳細胞が破壊され、記憶は失われてしまいますが、それが要因となって引き起こされる周辺症状に関しては、抑える方法があるかも知れません。

ですから、認知症で脳細胞が破壊される事でどんな症状が起こるのか?(中核症状)そして、その事が原因でどんな症状が誘発されやすいのか(周辺症状)この部分をしっかり理解し患者の気持ちを想像する事によって、症状に対して、適切な対応が可能になります。

中核症状

認知症は脳神経が破壊され、認知機能が衰える事で発症する病気、という事を殆どの方が知識として持っていると思います。

ただし、脳神経が破壊されると『どんな症状が出るのか?』という部分については理解されていない方も多いと思いますので、まずはその部分を解説していきます。

中核症状
記憶障害
記憶の抜け落ち(完全に消失)初期段階では近い記憶から失われて行きます。進行が進むと知識や言葉(意味記憶)や家族の名前など昔からの記憶も失われます。
見当識障害
『いつ、どこ、だれ、を間違える』初期段階では日時が分からなくなり、進行するにあたって場所、人が分からなくなって行きます。
実行機能障害
(手順を踏んだ作業が出来なくなる)料理が出来ない。家電が使えない。買い物でお金が払えないなど、段取り、手順が必要な行動がとれなくなります。
理解・判断力障害
(対処能力障害)雨が降ったから傘を差す。気温が下がったらから服を着る等の普段あたり前に思いつく事、判断出来ることが出来なくなります。
失語
(話す、読む、聞く、書くが出来なくなる)初期はものの名前が思い出せないから始まり、進行すると言葉が理解できなくなります
失認
(見たり、聞いたり、触れたりしたものが分からなくなる)視力、聴力、感覚などに問題はないものの、それがなんであるか分からなくなる。物意外にも、人、道なども分からなくなり、迷子等の原因となります
失行
(これまで出来ていたことが出来なくなる)歯を磨けない、着替えが出来ないなど、したいことあっても方法が分からなくなる等の症状がでます

上記のような中核症状に関しては、症状の重さに違いはあれど、脳神経の破壊によって引き起こされる症状であるため、残念ながら現状の医学では治療が不可能とされています。

さらに、現状では薬の服用で『症状の進行を遅らせる』『現状を維持する』という事を目的に治療が行われますが、それでも徐々に進行してしまうのが中核症状です。

周辺症状と対策

中核症状が進み、物忘れが多くなって、服が自分で着替えられなくなって、順序立てた行動が出来なくなる。たしかに、悲劇的な状況のようにも思えますが、中核症状のみであれば、家族の介護負担というのは意外に大きくありません。

本当に介護する側にとって負担になっているのは中核症状によって引き起こされる、暴力、暴言、睡眠障害、徘徊、異食、幻覚等の周辺症状です。ですから、患者と家族がよりよい生活を送っていくためには周辺症状をいかに抑えて行くのか?という部分が認知症を介護して行く上で重要となります。

そのためには何故、周辺症状が引き起こされているのか?という部分を精一杯想像する事が大切です。

周辺症状
背景
徘徊
・部屋が分からなくなっている
・自宅が他人の家のように感じ、自宅を探している
・仕事等に向かおうとしている。
弄便
・便が便という認識がない
・不快感で便を手でぬぐってしまう
・便が手について不快なので壁になすりつけてしまう
・怒られるので便を隠してしまう
せん妄
・せん妄=意識障害による混乱
・根底にあるのは記憶の抜け落ちによる混乱
幻覚・錯覚
・レビー小体脳型認知症で多く発生
・見当識障害によって、物や音が正しく判断出来ないことが原因の場合あり(ゴミが虫に見える、風邪の音が人の声に聞こえるなど)
介護拒否
・介護される意味が分からなくなっている
・お風呂の入る意味が分からない
・薬を飲む意味が分からない
もの取られ妄想
・自分が物をしまったり、置いたりした事を忘れている
・本人は物をしまったり置いたりした記憶が無いため取られたと認識する
暴力・暴言
・脳機能が低下している事によって感情が抑えにくくなっている
・さらに何か失敗した時に怒られる事が理解できないため、叱責等が理不尽な物と感じ、暴力、暴言につなかる
不眠
・見当識障害によって時間の感覚が失われている事が背景
うつ
・認知症を発症すると4割程度の患者にうつ症状が発生。
・うつ自体は認知症から直接発生する症状ではなく、今まで出来ていたことが出来なくなるなどの、ストレスが要因
帰宅願望
・自宅の記憶が失われ、自分の居場所が分からなくなる事が背景
異食
・食べた事を忘れるof食べ物とそうでない物の判断がつかなくなった事が背景


上記で解説した、周辺症状というのは一見すると『意味不明、理解不能』と思われる物が殆どです。認知症になって頭がおかしくなってしまった。そう思わってしまう人もいるかもしれません。

しかし、健常者の思考では、意味不明と思われる認知症患者の行動も患者側からすれば明確な理由があるのです。

例えば、あなたが今あなたが認知症になったとして『5分前の事も全く覚えていない、今いる場所も分からない、横にいる人が誰かもわからない』そんな状況になった時、どんな行動を起こすでしょうか?

私なら発狂して、どこかに走り出してしまうかもしれません。認知症の患者さんというのはそういう世界で生きています。ですから、介護をする上では意味不明と諦めるのではなく、患者さんが今おかれている状況をめいいっぱい想像するという事が大切です。

意味不明と諦めていたときよりも、優しい気持ちでいられると思います。不思議な事にどんなに症状が進行してもこの優しい気持ちは認知症の方にも伝わるものです。それが周辺症状を抑える1番の薬になります。




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