介護療養型医療施設(療養病床)とは?介護者目線で職員が分かり易く解説




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高齢社会の到来と財政難から、国の方針は「可能な限り在宅での生活」という方針を打ち出しています。

特に介護療養型医療機関は「医療が不要な方」がたくさん入院していたという事実からも、今後は寝たきりであっても「在宅復帰を目指す時代」になってくることが予測されます。

そのような流れから今回は、閉鎖が決まっている介護療養型医療施設の今後について、解説いたします。

療養病床とは?

介護療養型医療施設(療養病床)
施設区分
公的施設(介護保険施設)
入居期間
病気が治れば在宅復帰が前提
医療体制
医師が常駐、リハビリの体制も厚い
対象者
要介護度1~5対象
地域規制
地域規制は特に無し
認知症
対応
費用/入所費用
特に無し
費用/月額
介護保険サービスで1割or2割負担(込み込みで10万~25万/月
看取り
対応
居室
基本的には多床

療養病床には、医療保険が適応される「医療療養型」と介護保険が適応される「介護療養型」があり、長期の介護や医療的ケアを必要とするのは同じですが、機能が酷似してしまい、介護療養型に関しては、医療や看護を必要としない方が多数入所しているという現実から、今後は介護療養型を廃止する方向で動いています。

2012年より介護療養型医療施設の新設は認められておりませんので、今後は病状や介護度などから、医療療養型施設を選択するのか新型老健といわれる長期的に入所が可能な老健にするのか、それとも外付けで医療サービスを受けられる在宅系の施設を選ぶのかを考える必要があります。

療養病棟とは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設よりも寝たきりで介護度が高く、長期的な介護や医療的ケアを必要とする方の利用を想定していますので、「入退院を繰り返す」「血糖コントロールが不良」「人工呼吸器などの装着が必要」など医療度が高い方にはおすすめの病院です。

医師や看護師・介護福祉士・管理栄養士などの専門スタッフにより、医療・看護・介護が受けられますが、基本は「療養」を目的としている施設ですので、「積極的な治療」を望む方の入院は難しいといえます。

療養病床入居の条件は?

入居条件
要介護度
要介護判定1以上で65歳以上の方
年齢
基本的には65歳以上
状態
なんらかの医療処置が必要な方
その他
収入がすく無い場合入所優遇

65歳以上で介護認定を受け、要介護度1以上・医療的措置を必要とする方が入居対象となります。

入居時に一時金などの費用はかからず、介護保険適応で介護サービスの1割負担を含めて月に10~25万円程度の入院費です。

個室を利用したり、介護度が変われば、料金にも影響し予定していた利用料よりも高くなる場合もありますし、低所得であれば減免措置の対象にもなりますので、その場合は負担額が低くなります。

伝染性の感染症を持っていないことや、自傷他傷行為がないことなどが、条件となりますが、施設によって細かい取り決めがありますので、見学やお申込みに行かれた際には詳しくお話を聞くようにしましょう。

また、殆どの施設利用者は、寝たきりの方や認知症と診断されている方が多いため、医療度が高くても多少自分で動けたり、人との関わりを求める方には不向きかもしれません。

介護療養病床の介護・医療と居住環境は?

昔は「老人病院」と言われていた施設が、法の改正などを転機に「介護療養型病床群」になっているところが多いため、個室やユニット型などはあまりなく、多床室が多いのが特徴です。

ベッド数100床に対し、人員は以下の通りとなっています。

職種
人数(入所者100名あたり)
医師
3名以上(1人は常勤)
看護師
17人以上
介護職員
17人以上
リハビリスタッフ
理学療法士または作業療法士が適当数
介護支援専門員
1名以上

設備としては、病室・浴室・トイレなどの共同設備の他に、機能訓練室・診察室・食堂・デイルームなどがあり、病院に併設されていることも多く見受けられます。

介護保険制度の中では、唯一医療機関でもある介護療養病棟は、重度の要介護者向けの「介護療養病棟」と重度の認知症患者向けの「認知症専門病棟」に分けられます。

認知症を専門にケアする施設は限られており、介護療養病棟と比べると病床数が少ないため、入院するのはなかなか難しいところです。

療養病棟の中での老人認知症疾患療養病棟(認知症専門病棟)とは?

老人性認知症疾患療養病棟とは、認知症の症状を持つ方の精神的・身体的なケアを専門に行う施設のことをいいます。

グループホームとの違いは医療的ケアを必要とする認知症高齢者のための施設となります。

介護療養型施設が廃止の動きであるため、老人性認知症疾患療養病棟も廃止の流れの影響を受け、新規開設はありませんが、今後の認知症高齢者の推移を見て行くと、絶対的に必要な施設ではありますが、現状としては圧倒的に数が足りていない状況です。

認知症の方が入居する施設としてはグループホームがありますが、24時間目が離せないような徘徊やせん妄があり薬でのコントロールが必要な方や、頻回な血糖測定やインスリン注射、褥瘡処置・点滴治療が必要な状態になって来ると、認知症高齢者がいくら得意といっても管理上限界となってしまいます。

なぜなら、グループホームは、役割を再獲得しながらの共同生活となりますので、介護を担うスタッフは一緒に買い物をしたり掃除や洗濯などのお手伝いはできますが、病気の管理になると普通に荷が重すぎる訳です。

受診が頻繁になって来ると、ご家族の負担も大きくなってきますから、グループホームのスタッフに相談を持ち掛け、ご家族も介護するスタッフも双方にストレス度が高くなります。

ですから明らかな認知症のケアと医療的ケアが必要な方は、認知症専門棟を申し込まれた方が良いです。

また、グループホームは、ワンユニット9名以下となっていますので、ワンユニットだけで経営して行くのは、運営上かなり厳しいことから、大体の施設は2ユニット以上を持っています。

ですが、その中から1名でも退居してしまうと、翌月からの収益が減りますから大きな打撃となってしまいます。

多くのグループホームは待機者がいなければ、運営が危うくなりますのでギリギリまで自分の施設でケアしようとしますが、現場で働くスタッフは徘徊や異食・幻覚や幻聴・脱水や放尿・弄便行為等で相当大変な思いをしている事実があるのです。

グループホームのスタッフとの人間関係も構築され、愛着が湧いてくるとご家族も可能な限り入所をさせれないかどうかと考えてしまいがちですが、それは危険な賭けになる可能性があります。

ご家族がご自宅で介護することができなくなった認知症の方を、いくら専門のスタッフに任せたとしても、結局は相手も人間ですから疲れが出て来たり、ケアがスムーズに行かなくなるとイライラしたりするものです。

「ご家族とスタッフの関係が良好である」がイコール「認知症高齢者とスタッフの関係が良好である」にはならないことが十分にあることを理解し、ある程度の認知度が進行し医療的ケアも増えてきた時には、認知症専門棟への転院を考えた方が良いでしょう。

療養病床で受けられるサービスとは?

提供されるサービスは以下の通りとなります。

  1. 医師による診察
  2. 医師や看護師による療養上の医療的ケア
  3. リハビリスタッフや機能訓練指導員による生活リハビリ及び機能訓練
  4. 介護職員による生活に必要な介護
  5. 管理栄養士による栄養指導や療養食の提供

特別養護老人ホームや介護老人保健施設でも喀痰の吸引や経管栄養の管理は段々と行われる時代になってきましたが、それでも極力医療行為のある高齢者は受け入れたくはないといった雰囲気の中、寝たきりで経管栄養の方々を積極的に受け入れケアをしますので、利用されている方は「ありがたい」の一言なのではないでしょうか。

ただ、入院している方がほぼ動けないという側面から、アクティブなレクリエーションや施設で行われるような行事はほとんど開催されませんので、楽しくはありません。

特別養護老人ホームとは違い「終の棲家」をうたってはいませんが、寝たきりで医療度も高いという側面から、療養病棟で最期を迎えられる方も多いくいらっしゃいます。

ただ、看取りケアを行っているといっても、一般病院のようにある程度できることはした上での看取りとはちょっと意味合いが違って来ます。

基本、「本人の寿命に任せ、自然な死」を迎えるのが療養病棟での看取りとなりますので、一般病院のような積極的な治療は、ほぼ行いません。

「医師や看護師もいるので何とかしてくれる」という期待はしないことです。

最期はみな死を迎えますので、どんな最期を迎えられることが本人とその家族が一番幸せな形なのかを、キチンとイメージしておくことが大切です。

よくある質問ですが「いつまでもちますか?」「あと何日で死にますか?」などと聞かれることがありますが、人の寿命は専門的な勉強をして来た医師でも分からないものです。

それよりも、「あれをしてやれば良かった」とか「ここにも連れて来てやりたかった」などと後悔せずに、生きているうちに無理をしてでも、思ったことを実現させる努力をすることの方が大切でしょう。

どこかに連れて行ったことが原因で、たとえ寿命が1日短くなったとしても、生活や人生の質を上げれた方が良いのではないかと私個人は考えます。思っていた事を実現させても後悔する時はします。

しかし「これも、あれもしてやりたかった」と言って一生後悔するよりも「やってみたけどダメだった」の方がどこかで諦められるのではないかと思う今日この頃です。

そういう意味では一般病棟のように無理矢理命を長らえさせるよりは、「本人の寿命に任せ、自然な死」を迎えるのが療養病棟での最後の方がより、本人らしい最後といえるかも知れません。

療養病床のメリットは?どんな人に入居をおすすめ?

  1. 医療的ケアが受けられる
  2. 入院費用が比較的安い
  3. リハビリを受けることができる
  4. 長期的な利用が可能である

なんと言ってもメリットは医療ケアが充実している所です。

他の介護保険施設では基本的には、医療負担が大きくなった段階で退去しなければならないケースがほとんですが、療養病床に関しては医療体制がしっかりしているため、医療負担増による退去という事がありません。

またリハビリ等他の施設のリハビリとは違いより医療度の高い物となるため、自宅復帰を目指されている方などにとってもメリットが大きい施設です。

療養病床のメリットのデメリットは?おすすめしないケースは?

  1. 医療機関なため、レクリエーションなどが充実していない
  2. 多床室が多く、なかなか個室に入ることは難しい
  3. 入退院が少ないことから、申し込みを行ってからの待期期間が長いことがある

認知症や医療的ケアなどがあり、在宅では管理が出来ない状態なのに、寝たきりではなくある程度自分で動ける方は、もしかすると「つまらない施設」と感じるかもしれません。

レクリエーションは定期的には行いませんので、年に数回の行事がある程度で、元気のいい高齢者がいる時には、スタッフもレクリエーションを積極的に取り入れようとしますが、そうじゃない時には、レクリエーションが消滅することもあります。

中には、積極的にレクリエーションを行う療養病棟もあるかもしれませんので、隈なく探すと良いでしょう。

また、基本的には医療機関ですので、多床室が多く個室での対応はなかなか難しいところから、プライバシーを気にされる方には向いていないともいえます。

認知症専門棟でなければ、それほど待期期間は長くはありませんが、人気の病院は待たされる可能性はあります。

療養病床が閉鎖後はどうなるの?

療養病棟が閉鎖した後の形は以下のような3通りでイメージされています。

  1. 現状と同じ医療療養型病床
  2. 新型老健といわれる医療を行える介護老人保健施設
  3. 医師や看護師はいないが、近くや同じ施設内に医療を提供できる事業所がある外付けタイプ

今まで介護療養型医療施設であったところは、新たな形で移行されていく予定です。

より医療度が高い人が長期的に療養できる施設として「医療療養型」、ある程度落ち着いてはいますが、医療的ケアは継続的に必要な方は「新型老健(療養型介護老人保健施設)」、外付けされた施設から医療を受け、必要な時にオンコールで対応が可能なレベルの方は3に値する施設に入居するということになります。

介護療養型施設から、新たな形を受け継ぐ施設はすべて、看取り・ターミナルケアを行います。

入居検討者に対してアドバイス

介護療養型医療施設は、入院の必要がない方が多く利用していたという事が問題となり廃止の方向で動いていますが、今入院中の方は退院を迫られても行き先がないため、結局は今の施設に入院されている方が大勢いらっしゃいます。

今もなお、介護療養型医療施設が廃止されたあとのことは議論が続いており、明確な答えは出ておりません。

今後、介護度も重く医療度が高い方が療養病棟を探すのであれば、経営母体をまず確認して下さい。

例えば、医療療養型医療施設よりも療養型介護老人保健施設の方が、もしかするとキチンと医療的管理を行える場合が出てくるかもしれません。

というのは、脳神経外科が母体の老健施設であれば、意識障害を持っていても老健で管理が行えたりするからです。

要は、医師の力がかなり大きく影響します。

医師が「こんなの管理できるでしょう」と言えば、重症な方も入院加療が可能ですし、医師が「これはうちじゃないでしょう」と言えば、対象となる方でもその一言で対象外となってしまうのです。

ですから、医療療養型医療施設の医師が、色々な事例を診て、色々な経験をしていれば、「大丈夫、うちで管理していこう」となりますし、医療度が低くても「うちでの管理は無理だ」と言われちゃうとそれまでということになります。

また、地域連携室や退院支援相談の担当者の情報量や人脈によっても、選択肢がかなり変わって来ます。

正直な話、「どうか良い支援相談員に出会って欲しい」と願うばかりです。

支援相談員に力があると、医師も信頼して「言いなり」になることもありますから、支援相談員を上手く活用するということが大事なポイントでもあり、支援相談員には、とにかく「悪い印象を与えない」ことです。

はっきりと言いますが、悪い印象を与えてしまうと、信頼関係や今後のお付き合いにも影響が出て来ますので、良い施設や病院は紹介してもらえません。

施設を選ぶときには、顧客として「良い施設なのか」と相手の対応や質を吟味しますが、逆に施設側も「良い顧客なのか」と品定めをされている自覚を持ちましょう。

まとめ

今後、廃止の動きである療養病棟ですが、全てが無くなるということは考えにくく、多少の形を変えつつ、長期療養ができるのではないかと思われます。

ただ、医療も介護も財政難であることには間違いがありませんから、利用者負担が増えたり、施設側に入る報酬が減ることが予測され、利用される方・医療を提供する側、双方に混乱が生じることでしょう。

そして私達は、色々な情報に右往左往するのではなく、ネガティブな思考で物事を考えずに、まず「在宅するために必要なことは何か?何ができるのか?」という部分から冷静に考えて行動して行く必要があるのではないでしょうか。




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