レビー小体型認知症とは?症状の特徴から進行に合わせた対処法を解説




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レビー小体型認知症とは

レビー小体型認知症。その名前を聞いても「アルツハイマー」のようにピンとこない方がほとんどではないでしょうか。

それもそのはず、レビー小体型認知症は1995年に発表されたばかりの、比較的新しい病名なのです。耳慣れないのも当然のことだと思います。

レビー小体型認知症は、英名をDementia with Lewy Bodiesといいます。Dementiaが認知症、Lewy Bodiesがレビー小体という意味で、DLBと略される場合もあります。

日本では、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症、それにこのレビー小体型認知症が三大認知症と呼ばれています。

最も多いのはアルツハイマー型認知症で、全体の約半数を占めていますが、それに次いでレビー小体型認知症が約二割を占めています。

65歳以上の方がかかることは比較的珍しいため、レビー小体型認知症は高齢者の病気と言えるでしょう。

この病気は脳内の神経細胞に出来る、レビー小体という特殊なたんぱく質の増加が、原因だといわれています。ドイツの神経学者フレデリック・レビーによってパーキンソン病患者の脳幹でこの特殊なたんぱく質が発見されたことから、レビー小体と名付けられました。この特殊なたんぱく質が大脳皮質にまで広がることで、レビー小体型認知症となります。

この特殊なたんぱく質が何故こうして脳細胞で増え広がるのかは、まだ解明されていませんが、症状の特徴や、介護する上で気を付けたいポイント等はある程度分かっていますので、今回はその部分について解説していきます。

レビー小体型の症状の特徴は?他の認知症との違いは?

この病気の特徴的な症状として三つの症状が挙げられます。

症状
補足
幻覚
幻覚は、レビー小体型認知症の最も有名な特徴と言えます。
かなり初期の段階から、見えないはずのものがはっきりと見えることを訴えるところが、他の認知症とは一線を画しています。
認知機能障害
認知機能障害とは、状況を理解することができなかったり、会話における理解力が低下することなどがあげられます。
レビー小体型認知症の場合、こうした症状の良い時と悪い時の差異が激しく、かなりの波が見られます。
パーキンソン的症状
パーキンソン的症状とは、パーキンソン病の特徴的症状である運動障害のことを差します。
身体がこわばり動きにくい、手足が震える、小股で小刻みに歩く、身体のバランスを崩しやすい…などの症状です。

他の認知症との違いとしては、アルツハイマー型認知症が女性の方が圧倒的に多いことに比べ、レビー小体型認知症は男性の方が女性より多くなっています。

また、他の認知症と比べて進行が早いのが特徴で、発症の診断から10年以内に全経過をたどると言われています。

ただし、最初に触れたとおり、まだ名前がついてから20年を過ぎたばかりの病気です。パーキンソン病や他の認知症との誤認も多いと言われており、まだまだ過渡期にあり、症状の全容が摑み切れていないとうのが現状です。

レビー小体型認知症の症状の進み方と治療は?

レビー小体型認知症の症状は、調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行していきます。蛇のように蛇行しながら右下がりしてゆくようなイメージです。

上でも述べましたが、症状はわかっているものの、レビー小体型認知症の原因自体はいまだ解明されていません。従って、アルツハイマー型認知症と同様に、現時点では根本的治療や完治は望めない病気となります。

そのため、治療方法としては、出ている症状を押さえる対症療法を行っていくことになります。

投薬治療

アルツハイマー型認知症の治療薬である「アリセプト」が、レビー小体型認知症の認知障害や異常行動に有効だと確認されました。2014年からレビー小体型認知症の治療薬として保険適用薬となっています。

他の薬物治療としては以下のような効果を狙い投薬が行われます。

  1. 血圧コントロールの薬を使用して自律神経障害を押さえる
  2. 抗精神薬を使用して精神症状の抑制を試みる
  3. 抗パーキンソン病薬を使用して震えやなど運動症状の軽減を図る

等が挙げられますが、副作用の関係で薬の併用が難しいものが多いのが問題となり、薬の量や飲み合わせの調整に慎重さが必要となります。医師を始め医療との密な連携が重要になってくるでしょう。

非投薬治療

非投薬治療としては以下のような物がありますが『レビー小体型認知症だから』というような専門的な治療はなく、他の認知症同様に脳の活性化を図るリハビリ的な治療が中心になります。

  1. 運動療法
  2. 音楽療法
  3. 学習療法
  4. ペット療法

上記のようなリハビリを可能な範囲で積極的に取り組んで行く事が有効とされています。

ただしレビー小体型認知症の場合は前述したようにパーキンソン症状等の身体的な症状が出やすいため、積極的なリハビリが難しくなりがちです、

症状の進行と治療方法は?

初期の症状と治療法は?

レビー小体型認知症の初期症状としては以下のような症状が特徴です。

  1. 便秘
  2. 嗅覚異常
  3. うつ症状
  4. レム睡眠行動障害
  5. 物忘れ
  6. 立ちくらみ(起立性低血圧)
レム睡眠行動障害というのは、寝ている最中に突然起きあがったり、暴れたり、大声で叫んだりするという行動が見られる睡眠障害の一つです。

などがよく挙げられます。ですが、物忘れも、アルツハイマー型認知症に比べると軽い場合が多く、この段階で「レビー小体型認知症かもしれない!病院に行こう!」と思えるのは医療関係者の方くらいで実際には初期症状が見逃されてるケースが殆どです。

もう少し症状が進むと以下のような症状が現れます

  1. 幻視
  2. 錯視
  3. 幻聴
  4. 妄想

などが目立ってくれば、周囲も「何かおかしいな」と思い始めるのではないでしょうか。

初期の幻覚では、虫が見える方が多いようです。食事に虫が混入しているのを見たり、誰もいないところに人が見え、そのことを周囲に訴えます。

こうした症状が出始めて病院に行かれる方が多い印象を受けます。

ただ、受診をしてもすぐにレビー小体型認知症の診断を受けられるかといえば、難しいかもしれません。レビー小体型認知症の診断や治療を専門的に行っている医療機関は多いとは言えないのが現状で、見逃されてしまうケースも少なくありません。

医療機関の充実は地域によって格差が大きいので、まずは市区町村にある「地域包括支援センター」に相談してみてください。

レビー小体型認知症だと診断されたら、周囲の人間がそれを受け止めてあげることが大切です。

中期の症状と治療法は?

いわゆる中期が、家族や周囲の方にとって最も対応に苦慮する時期になるかと思います。

パーキンソン的な症状が強くなっていきます。歩行が難しくなる方も増えてきます。転倒のリスクが高くなり、目が離せない時期です。

認知障害の良い時悪い時の波で、悪い時間の方が長くなってきます。ぼんやりしていて会話が成立しない、反応がないという症状が長く続きます。

そして、幻覚や妄想が顕著になっていきます。

見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる。実際に患者さん本人にはそのように「見えている」ので、家族や周囲の方が宥めても納得されることはありません。

認知障害も伴って、幻覚に対しての理解を得ることが難しく、対応が難しくなっていきます。

また、夜間のレム睡眠行動障害でベッドから転落される危険性も高くなっていきます。

後期の症状と治療法は?

日常生活において、常に介助が必要な状態になります。

パーキンソン的な症状の進行に伴い、歩行は難しく車いす生活となっていきます。身体の強張りも強くなり、寝たきりの生活になる方も多いです。

嚥下障害も出て来ます。こうなってくると御縁性肺炎等にも注意が必要です。

後期になると、認知障害に関しては波が小さくなりますが、それは常に悪い状態が続くイメージです。

入院生活を余儀なくされる方も多くなってきます。

レビー小体型の患者を介護する上での注意点は?

レビー小体型認知症と診断された方を介護するとき、身体的な留意事項と精神的な留意事項があると思います。

身体的留意事項

最も注意を向けて欲しいのは転倒の危険性です。安全対策として下記のことを心がけて下さい。

  1. 家の中や患者さん本人の行動範囲内にある、つまづきやすいものを片づける
  2. 立っている・歩いている背中に向かって話しかけない
  3. 動きやすい服装をしてもらう

パーキンソン的な症状が出始めた頃は、患者さん本人に身体状況への自覚は薄いことが多いのです。動けるイメージが残っているために気持ちが先走りがちなのですが、思ったように身体は動きません。

だからといって頭ごなしに「転んだら危ないから!」と自由を奪うようなことは難しいのが現実です。少し先回りして安全対策をしていくことが大切になってきます。

また、その方がもともと持っている性格をよく配慮して、介助の手を受け入れてもらえるような工夫が必要になってくると思います。

介護スタッフの場合は、声掛けの仕方に工夫するとうまくいく場合が多いです。

「私(僕)が一緒に歩いて欲しいから」
「私(僕)が介助の練習をしているのでお手伝いして貰えますか?」

といったような感じで、介助者の希望に付き合って頂く形を取るのが良いのではないでしょうか。

ご家族の場合は、配偶者なのか子供なのかで変わってきますが、心配していることを伝えていって頂きたいと思います。

また、夜間のレム睡眠行動障害に備えて、寝場所の安全性を確保することも大切です。ベッドはできるだけ低いものにして下さい。柵に当たって怪我をすることも多いですから、クッション等で囲うことで備えるのも良いでしょう。

あまりにも動きが激しく、転落の可能性がある場合はベッドではなく布団で寝て頂くのも対処法の一つになります。

症状が出た時には、部屋の照明をつけて一度覚醒を促して下さい。多少の混乱は見られますが、覚醒して落ち着けば症状も落ち着く場合が多いです。

精神的留意事項

これはなんといっても「幻覚」「妄想」への対応です。

患者さん本人が訴えてくる「見えるもの」は介護者にとってはにわかに信じられないものがほとんどだと思います。かなり現実離れした訴えが多いですから。

しかし患者さん本人にはまさにその通りに「見えている」のです。

否定することや適当な言葉で受け流すようなことはせず、真摯に向かい合う必要があります。患者さん本人に「見えているもの」を実際そうなのだと受け止めるようにしたいものです。

私が特別養護老人ホームで働いていたころ、介護させて頂いた患者さんに「壁から虫が出てくる」と訴える方がいました。

私達ケアスタッフは最初、「殺虫剤を掛けますね」と虫よけスプレーを持ってきてかける対応をしました。最初は「ありがとう」と言ってくれた患者さんでしたが、夜になって眠るためにお部屋戻り「まだ虫がいるじゃないか」と怒りだしました。

夜の方が症状は強く出る傾向にあり、その患者さんは怒る一方です。その夜はとりあえず、空いていたお部屋にご案内して、寝るお部屋を変わって頂きましたが、翌日になってもまだ、「壁の虫を退治してくれないと部屋に入れない」という訴えは続きました。

その気持ちに寄り添おうといろいろな方法を試したのですが、最終的にそのシミの部分にポスターを張ることで解決しました。

この場合、その方に「見えているもの」を肯定するだけでは駄目で、「見えているもの」自体を排除しなければ、その方の不安を解消することはできなかったわけです。

このように、その方の気持ちに寄り添おうと努めても、一筋縄ではいかないこともあります。

妄想は訂正を受け入れることができないものです。

よくあるのが「財布を盗まれた」「配偶者が浮気をしている」といった被害妄想です。こういった妄想は近しい方に向けられることが多いと言われています。

妄想の場合は疑われて憤懣やるかたないと憤ってしまいがちですが、受け流す努力が必要です。「紛失した」「盗まれた」という場合はなくなったものを一緒に探している間に有耶無耶になることもあります。ある程度一緒に探したところで「少し休憩しましょう」と声をかけて場面転換をすることで、すんなり収まる場合もあります。

幻覚も妄想も、こういう対応をすれば良いという必勝の正解はありません。その人の人となりや介護者との関係性で変わってゆくものですから、一つ一つの訴えを受け入れ、理解しようという姿勢を持つことが大切なのだと思います。

また、認知症状の良い時悪い時の波を理解して接することも大切です。

認知障害が見受けられる時、つまり悪い時だなと感じた場合は、「できるだけゆっくりと話す」「一度に伝える内容を少なくする」などの工夫が有効です。理解が乏しい場合は、何度も同じ説明が必要なこともあります。辛抱強さが必要な場面も出てくるでしょう。

身体的な留意事項も精神的な留意事項も、相手を理解して安全に過ごしてもらいたいという気持ちを持つことが大切だと思います。

今、そのとき、その方が抱えている感情に寄り添っていくことで、見えてくるものがあると思います。

ただし、なにもかもを抱えてしまっては疲れてしまいます。周囲みんなでサポートしてゆくという体制を作り、負担が偏らないように心がけていって下さい。

レビー小体型認知症患者の症状の改善策は?

レビー小体型認知症はいまだ過渡期の病気といえるでしょう。近年、世界中で注目されるようになっており、その治療法についても活発に研究され続けています。
症状が大きく改善したという方もいらっしゃいます。

改善策として挙げられているものは以下の方法です

  1. 患者さん本人の会話の機会を増やす
  2. 趣味を再開する
  3. ペットと暮らす
  4. 日中の運動量を増やす

が知られているようです。

私の関わったレビー小体型認知症の患者さんで入院されていた方が退院し、ペットの猫と暮らし出したことで症状が軽減した方がいます。

ずっと飼っていた猫との自宅での暮らしが、その方にとって良い刺激になったのだと思います。在宅生活は支える介護者の負担も大きく大変ですが、住み慣れた家で暮らすことで改善が見られた例でしょう。

全ての認知症の方に言えることだと思いますが、ご本人が出す様々なサインを読み取り、安全に配慮しつつその方らしさのある暮らしを送って頂くことが重要です。

周囲の方がこの病気に対する理解を深め、医療機関とより良い治療を模索してゆくことが改善につながってゆくのではないでしょうか。




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