認知症の患者の不動産売却は成年後見人が絶対必要?




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介護はお金がかかります。特に自宅での介護が限界になって、有料介護付き老人ホーム等を見当するとなると、数百、数千万のお金が一括で必要になるケースも少なくありません。

でも、そんな大金普通の家庭では簡単には用意できる金額じゃありませんよね?

そこで頭に浮かぶのが親名義の不動産売却。

しかし、物件の所有者が認知症と診断されている場合は不動産の売却も容易ではありません。

認知症で判断能力が認められない場合の不動産売却は無効

正直納得いかない部分もありますが、この国では基本的には認知症=意思能力が無い人。そういう認識が通例です。

ですので、判断能力が無い人が行った契約については無効。つまり認知症患者は不動産売却が出来ないという事になっています。

となると家族が売却すれば良いのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、例え家族であったとしても本人の意思無く不動産を売却する事は出来ません。

前述したように認知症=判断力が無い状態と定義されているため、家族に不動産売却を委任する事も不可能です。

そのため、認知症患者所有の不動産物件を売却したい場合には、成年後見人を付けて土地を売却する形になります。

成年後見人とは?

認知症等によって判断能力が無くなってしまった人を保護する為の制度です。

家庭裁判所が決めた成年後見人が、本人に代わり財産管理などを行います。

判例から例外を考える。認知症でも判断能力が認められる場合はある?

ただし、認知症患者が行った不動産売買が全て無効となっているかと言えば、そんな事はありません。

実際には認知症と診断されたとして売買契約に必要な判断能力を有している方もいらっしゃいますし、受け答えが正常で売買に支障が無ければ結果的には不動産を売却も出来てしまいます。(売買の際に認知症でない証明をする必要は無いため)

そして売却者、購入者双方が納得しているのであれば、結果的にはその売買に問題が発生する事はありません。

認知症患者が行った不動産売買が有効とされた判例 東京地判 平成8年11月27日判決

言葉が固く分かりにくいので、簡単に解説すると以下のような解説になります。

認知症の親が勝手に不動産を売却した。相続人である息子がこれを無効だと主張。しかし認知症であるものの判断能力があると裁判所は判断。よって不動産の売却は有効。

■ 事案の概要

痴呆症(認知症)の売主の相続人(原告)が、同売主がした代理権授与は意思能力を欠く無効なもので、これに基づく売買契約が無効であるとして、所有権移転登記の抹消を求めた事案である。

裁判所は、代理権授与の際に意思能力を喪失しておらず、代理権授与は有効であり、売買契約もまた有効であるとした。

■ 裁判所の意思能力に関する判断

裁判所は売主の意思能力について以下のように認定した。痴呆症の売主が入院していた病院の記録から、多発性脳梗塞のため痴呆症状を呈するようにはなってはいたものの、常時判断能力を喪失していたと断ずるには躊躇を覚える。弁護士が売り主と病院で面会した際、判断能力に疑問を感じることはなかったこと、売り主は面談した者を弁護士であることを認識し、本件土地建物を売却することを依頼したこと、弁護士が本件委任状を起案し、委任事項として本件土地建物の売却等を記載して、逐一説明したところ、これを納得したことなどから、本件売買契約の趣旨、目的を理解し、委任事項も理解し、それ故に不自由極まりない手で、何とか委任状に署名を試みたと理解するのが合理的でる。

認知症=判断能力、意思能力が無い状態という見解が目立ちますが、このような判例もあります。

裁判所は、意思能力の有無について、医学上の評価、年齢のほか、契約締結前後の言動や状況、契約の動機・理由、契約に至る経緯、契約の難易度、契約の結果の軽重、契約内容が客観的に見て合理的かといった点を総合的に考慮して、判断しています。

ですので、かならずしも認知症=判断能力が無いという見解にはなるとは言えないようです。

現実的には成年後見人制度を利用がおすすめです

さて必ずしも不動産売買が無効ではないというお話をしましたが、不動産売買の際に必要な書類(登記申請)を作る司法書士としては、万が一判断能力が無い認知症患者の登記簿申請をして、それがトラブルになった場合には責任問題に発展します。

そのため、認知症患者が所有する物件の不動産売却は成年後見人抜きでは現実的には困難と言えます。

また、現実的に不動産というのは数日で、終わる物ではなく、査定→不動産業者決定→売り出し→売却完了というようにある程度日程が必要ですし、場合によっては数年という長期戦になる場合も考えられます。その間に認知症が進み、判断能力が失われてしまう可能性もあります。

ですので、基本的には、認知症患者の不動産売買というのは成年後見人を立てて行う事をおすすめします。

認知症患者の不動産売却の流れと相談先

まずは査定。大まかな売却金額を想定出来ないことには、計画を立てる事が出来ませんので、物件を査定に出しましょう。

査定先ですが、1番良い条件で売買する為に一括サービスを利用するのがおすすめです。

専門家に相談

査定と共に専門家に相談しましょう。

成年後見人制度を利用すべきか否かという部分は勿論の事、不動産売却には税金の問題等も絡んで来ますので、このあたりの部分をしっかりさせておくとスムーズに不動産売買を行う事が出来ます。




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